1年間の総括と、ここから始まる“共感の進化”

開催日2025年9月28日
司会原田 伸介
コメンテーター稲本 正

一年間にわたって続けてきた「共生進化ネット」。
毎月多彩なゲストを迎えながら、“私たちはこれからどう生きるべきか”をテーマに対話を重ねてきました。

環境、生命、建築、デザイン、農、表現、社会問題……
幅広い分野の“目利き”たちが語った言葉には、これからの時代を生き抜くためのヒントが満ちていました。

今回は、そんな一年間の対話を総まとめとして振り返ります。歩く、感じる、つなぐ。サスティナブル・トラベル・KAIDO街道・内藤新宿編


「生命とは何か」を問う — 中村 桂子さん

中村 佳子

初回ゲストは、生命誌研究で知られる中村 佳子なかむらけいこさん。
人間を“生態系の頂点”と考える誤解が、環境の歪みを生んだという本質的な指摘から始まりました。

「人間もまた、生物全体の一員でしかない」

目の前の環境問題を理解するための“原点”を教えてくれた回でした。

ローマクラブとSDGsの源流 — 野中ともよさん

野中ともよ

環境問題の最前線を担ってきた野中ともよさん。
ローマクラブの報告書から50年経つ今も状況は悪化し続けています。

インドでの太陽光ランタン支援やSDGsの草創期の話など、
「現場で動くこと」の重要性を改めて実感させられました。

命と食の現場へ — 武内陶子さん

武内陶子

NHKアナウンサーの武内陶子たけうちとうこさんは、食と健康を軸に活動するエネルギッシュな方。
災害支援の放送から始まり、私たちの“じゃがいも掘り”にも参加してくれました。

食べること、命をつなぐこと。
そのシンプルさを力強く伝えてくれた時間です。

デザインは進化する — 太刀川 英輔さん

太刀川 英輔

「進化思考」という概念を提唱するデザイナー・太刀川 英輔たちかわえいすけさん。
生物進化と同じように、デザインも“突然変異”と“選択”で進化するという視点は新鮮でした。

デザインは生き物と同じく、多様性と変異から生まれる。

哲学とデザインが長いスパンで繋がる、刺激に満ちた対話でした。

自然と建築の共生 — 隈研吾さん

隈研吾

「負ける建築」で知られる隈研吾くま けんごさんは、素材と自然への眼差しを語ってくれました。

子どもの頃から建物を観察し続けてきたという原点が、
自然と調和する建築の思想へと繋がっています。

現場に必ず足を運び、素材と向き合う姿勢は圧巻そのもの。

病を越えて生きる力を — 藤森 香衣さん

藤森 香衣

闘病を経験しながら「ピンクリボン」活動を続ける藤森 香衣ふじもりかおりさん。
病を隠さずオープンに語り、表に出る姿は多くの人を勇気づけます。

共感と支援が、人を再び立ち上がらせる──
その力を強く感じる回でした。

ゴリラが教えてくれた「共感」の社会 — 山極壽一さん

山極 壽一

京都大学の山極壽一やまぎわ じゅいちさんとの対談では、
ゴリラの社会性から「共感の力」を学びました。

ゴリラは非常に優しく、家族や仲間との関係を丁寧に観察しながら生きています。
私たちが目指すべき“つながりの社会”のヒントが詰まっていました。

江戸の暮らしはサステナブルだった — 田中優子さん

田中 優子

江戸の人々は、植物や動物に深いリスペクトを持ち、自然と寄り添って暮らしていました。
緻密な植物画から読み取れる「観察」と「共感」は、現代には薄れつつある視点です。

江戸には、今こそ学ぶべき知恵が多く残されている——そんな気づきを得た回でした。

語り継ぐ力 — 神田香織さん

神田香織

講談師の神田香織かんだかおりさんとは、言葉の力について語りました。
被爆やシベリア抑留をテーマにした講談は、多くの命の記憶を未来へ繋ぐ芸です。

“語り”は共感を生む。
その本質を教えてくれた大切な回です。

農業と再生の思想 — 枝廣 淳子さん

枝廣 淳子

翻訳家として活躍しながら、いまは農と温暖化対策をテーマに活動する枝廣 淳子えだひろ じゅんこさん。
竹炭を土に戻して地力を再生する取り組みは、まさに“地球の治癒”でした。

知識だけでなく、実践で語る言葉には説得力があります。

「信頼」がすべてを動かす — レイ

レイイナモト

最後のゲストは、私の息子であるレイ・イナモト。
彼はメディアと信頼について語り、核心を突きました。

「信頼されなければ、どれだけ正しいことをしても届かない」

まさに共生進化ネットの未来へ向けての重要なメッセージです。

自然農の現場へ — 「農天氣」さんを訪ねて

農薬や化学肥料を使わずに農業に挑む若い農家「農天氣」さん。
雨の中の農業体験では、自然のままに育つ命の力強さを実感しました。

小さな人参をジュースにした時の、豊かな甘み。
土を育てることが、命を育てることだと気づかされました。

そして、次の“進化”へ

これからの共生進化ネットは、
生命・宇宙・植物など根源的なテーマをさらに深く掘り下げていきます。

特に植物は、まだ分かっていないことが多い存在です。
なぜ葉は緑なのか?
なぜ最もエネルギーの強い光を反射するのか?

植物は“自分だけで生きようと思っていない”生き物なのかもしれない。

この思想を元に制作したショート映像も公開しました。
そして次回、2年目の第1回はエバレット・ブラウンさんとの対談からスタートします。


まとめ — 共感と信頼が、進化の鍵になる

一年間の対話を振り返ると、
どのゲストも共通して「共感」と「信頼」を重視していました。

  • 人の声に耳を澄ます
  • 自然を観察する
  • 命にリスペクトを抱く
  • 地域や社会と繋がる
  • 信頼を築く

その積み重ねが、これからの“進化”につながっていくのだと思います。

共生進化ネットは、これからも皆さんと共に考え、学び、進化していきます。
どうぞ2年目もご期待ください。