インドが映し出す未来─哲学とテクノロジーが導く「地球人」の時代

開催日2024年11月10日
ゲスト野中ともよさん
コメンテーター稲本 正

今回のゲストは、国際的に活躍されてきた 野中ともよさん
テーマの中心は「インド」。
単なる一国としてのインドではなく、これからの世界や人類のあり方を映し出す存在としてのインドについて、深い対話が展開されました。


なぜ人はインドに惹かれるのか

配信の中で語られた印象的なエピソードのひとつが、「インドに魅了される若者たち」の話です。
稲本さんの息子も学生時代に世界一周の旅に出ましたが、インドに到着した途端、そこで立ち止まり、3〜4か月滞在することになったそうです。

それ以来、何度もインドに足を運び続けています。
この話は決して特別なものではなく、インドという国が持つ不思議な引力を象徴しているように感じられます。

野中さんは、「幼少期に何を受け取ったか」が、その後の人生や価値観に大きな影響を与えると語ります。
ウパニシャッド哲学のような思想に触れて育った人間が、インドという土地に強く響くのは、自然なことなのかもしれません。

古代思想と最先端テクノロジーが共存する国

インドは、世界最大級の人口を抱えながら、

  • 数千年続く哲学・思想
  • 世界最先端のIT・ICT産業

この両方を同時に内包する、非常に稀有な国です。

IT分野で成功した人々が、40代でインドに戻り、社会や未来のために再び挑戦する。
そうした動きも、決して珍しいものではありません。

象徴的な人物の一人が、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)議長を務め、アル・ゴア氏とともにノーベル平和賞を受賞したラジェンドラ・パチャウリ氏です。

気候変動がなぜ「平和」の問題なのか。
それは、地球環境が崩れれば、人類の平和そのものが成り立たなくなるからです。

電気ではなく「光」を届けるという発想

野中さんは、パチャウリ氏とともに「センキ・ガイア」というプロジェクトを立ち上げました。

電力網を敷設するのではなく、電気のない村に「ランタン」を届ける。

その一つの光の下で、子どもたちは勉強を続けています。
東京ドーム何十個分にも及ぶ地域に、ランタンが届けられてきました。

これは単なる支援ではありません。
未来の地球を担う人材が、どこから生まれるのかという問いへの、ひとつの答えでもあります。

「賢さ」は国境を越えて存在する

稲本は、自身の経験からこう語ります。
「世界のどこへ行っても、必ず優れた頭脳を持つ人はいる」。

中国でも、アフリカでも、未開と呼ばれる地域でも同じです。
人類の知性は、国や文化で優劣が決まるものではありません。

この考え方は、構造主義を唱えたレヴィ=ストロースの思想とも重なります。
今、私たちは国家単位ではなく、地球規模で人間のあり方を考える時代に入っているのです。

教育も経営も「世界前提」で考える時代へ

教育についても、厳しい指摘がありました。
最初から「世界を見る視点」を持てるかどうか。
それが、これからの人材を大きく左右します。

同じことは企業経営にも言えます。
売上や利益だけを評価軸にする時代は、すでに限界を迎えています。

今、問われているのは
「なぜその企業は存在するのか」
つまり、パーパス(存在意義)です。

高度経済成長期の成功体験だけでは、これからの時代を乗り切ることはできません。

インドが示す、これからのヒント

インドは、

  • 古代の哲学
  • 最先端のテクノロジー
  • 地球規模の課題意識

これらが同時に存在する国です。

だからこそ、インドを知ることは、これからの世界を考えることそのものなのかもしれません。

次回の共生進化ネットでは、インドとの向き合い方、日本の教育や企業の変革、そして本当の意味でのビジョンとパーパス(目的)について、さらに深く掘り下げていく予定です。