日本文化の本質と、人類が直面する危機。私たちは「競争」から「共生」へ進化できるのか

開催日2025年9月21日
ゲストレイ・イナモトさん
司会原田 伸介
コメンテーター稲本 正

今回の「共生進化ネット」は、これまで以上に深いテーマへ踏み込みます。
縄文から現代の環境問題まで ― 日本文化が持つ独自性と、人類が直面する課題をどう乗り越えるかについて語りました。


日本はなぜ「争わない文明」をつくれたのか

―縄文から続く、日本文化の独自性

民族学者・佐原真さはらまこと氏の研究『世界史の中の縄文』によると、日本は世界的に見ても非常に珍しい特徴を持っています。

  • 小規模な集落が長期間“争わず”に共存
  • 江戸時代も260年間、国内戦争ほぼゼロ
  • 外国ともほとんど戦わない
  • 「気配り」「おもてなし」が文化として発達

この“争わずに続く文化”は、世界でも類を見ないものです。

さらに岡倉天心『茶の本』が示すように、日本は東洋文化の「着地点」として独自の精神性を育ててきました。
この思想は、現代世界が抱える課題にも通じています。

西洋文明の“行き詰まり”

―競争を続けた結果、何が起きたのか

エマニュエル・トッド『西洋の敗北』が描くのは、西洋型競争主義の限界です。

  • 戦争を繰り返す構造
  • 勝者も敗者も疲弊
  • ウクライナ、パレスチナなどに象徴される“負の歴史の連鎖”

実はこの“競争中心”の発想は、ダーウィン進化論の誤読から生まれたものです。

ダーウィンは
「適者が生き残る(環境に適応した者が生存する)」
と述べただけで、

「競争に勝った者が進化する」
とは言っていません。

むしろ地球で最も成功しているのは
植物(生物量の9割)昆虫(最も多様な生物)

彼らは“共生”によって進化してきた存在です。

人類はそろそろ「競争こそ進化」という呪縛から離れ、
共生を軸にした価値観へ転換すべき時期に来ている。

「分解して解決する」思考の限界

―デカルト主義が生んだ問題

近代科学はデカルトの発想、
「複雑なものは分解すれば理解できる」
に支えられて発展しました。

しかし、生命・環境・社会問題はそれでは解けません。

  • 生命は“物質と情報”が不可分(遺伝子はまさにその象徴)
  • 部分最適では全体は解決しない
  • 環境問題は構造全体の視点が必要

これは量子力学の父・シュレーディンガーも指摘したことです。

なぜ正しい理論が広まらないのか?

―エレベーターの歴史に見る「信頼のつくり方」

重要な論点がここです。
どれだけ正しくても、人に伝わらなければ社会は変わらない。

象徴的なのが「エレベーター」。

  • 1890年代には安全性が証明されていた
  • しかし人々は「人が操作しないのは危険」と感じていた
  • 実際に普及したのは数十年後
  • 決め手は
     ・「非常停止ボタン」
     ・「エレベーター内の電話」
    →“安心できる体験”が初めて信頼を生んだ

つまり……

正しい理論を“実感できる体験”に翻訳することが必要。

これは環境問題も共生思想も同じです。

環境危機は「もう始まっている」

―CO₂濃度は地球史上“異常な速度”で上昇

  • 産業革命前:280ppm
  • 現在:420ppm

わずか150年で地球史から見て“瞬間的”な上昇です。

豪雨、異常高温、森林破壊……すでに日常で体感できるレベルになっています。

小手先の経済成長では解決できない。
価値観そのものを変えるしかない。

行動へ落とし込む方法

―“全人類を変える”のではなく、“焦点を絞る”

理論を実践に変えるには明確な絞り込みが必要です。

例として挙がったのは テスラ

  • 「世界中をEVに」は不可能
  • まずはスポーツカー“ロードスター”を作り、小さな市場に刺す
  • そこから徐々に普及

これは共生思想にも応用できます。

まず小さな領域で具体的な体験をつくる。
それを広げていくことが未来を変える唯一の方法。

“正しい理論を、わかりやすい言葉で”

—共生進化の時代に必要なこと

議論の末に出た結論はシンプルです。

学者として正しいことを語るだけでは人は動かない。
一般の人が理解し、行動できる言葉へ翻訳することこそ必要。

この“翻訳”が、未来の教育・文化・環境を支える鍵になります。

共生進化ネットが取り組むリアルな活動

現在、共生進化ネットは以下のようなリアルイベントを企画・実施しています。

  • 日本文化の再発見イベント(茶室・芸術・香り)
  • 食と農業のワークショップ
  • シベリア抑留者の証言会
  • 子ども向けの自然体験と文化教育

理論を伝えるだけでなく、
“体験を通して理解できるプログラム”へと進化させています。


次回予告

次回は、

  • これまでの議論の総まとめ
  • 今後出演いただくゲストの紹介

を予定しています。

共生進化の思想を、どう社会へ届けていくのか。
次回もぜひお楽しみに。