6人の対談が示した“これから”—共生進化ネット総括と「第2弾」の全予告

開催日2025年3月23日
コメンテーター稲本 正

この回は、2024年9月から続いた前半シリーズ(全6回)を振り返る“総集編”であり、同時に2025年4月から始まる第2弾の予告編でもありました。

「どんなゲストと、何を話してきたのか」
そして「次は誰と、どこへ向かうのか」
その全体像が、非常に分かりやすく整理された回でした。

前半6回を総括—共生進化ネット、ここまでの歩み

稲本さんはまず、2024年9月29日の配信を皮切りに、6人のゲストと対談してきたことを振り返ります。
今回は、その内容を踏まえた総括として、各回の要点が紹介されました。


1.中村桂子さん:生命誌から見える「いのちのつながり」

最初のゲストは中村桂子なかむらけいこさんです。中村さんは「生命誌(せいめいし)」の研究者で、活動拠点を「研究所」ではなく「研究館」と呼んでいる点が印象的です。
そこは“研究成果を閉じる場所”ではなく、多くの人が訪れて学び、理解を深めるための場所として開かれている、という考え方です。

研究館では、植物と動物のコミュニケーションに関する研究も行われており、蝶が卵を産みにくる植物を育てるバタフライガーデン(食草園)のような取り組みも紹介されました。

2.野中ともよさん:ローマクラブの警告から50年、なぜ変われなかったのか

2人目は野中ともよさんです。稲本さんとは古くからの知人で、さまざまな縁を通して交流が続いてきた方だと語られました。
野中さんは、いわゆるローマクラブの報告書(「成長の限界」につながる議論)に関わった人物でもあります。

報告書が示した警告から50年が経ったにもかかわらず、社会は十分に動けなかった。
その結果、環境問題はむしろ危険な領域へと進んでいる—そんな現状認識が、対談の軸になっていました。

3.竹内陶子さん:食と健康へ—「野生に放たれた」これからの挑戦

3人目は竹内さんです。稲本さんの活動初期にNHKの新人アナウンサーとして取材に訪れたことが縁で、長い付き合いが続いてきたといいます。

近年はNHKを離れ、いわば「野生に放たれた」とも言える新しいフェーズに入り、食と健康という稲本さん自身がこれから深めたいテーマにも強い関心を持っていることから、出演につながったと紹介されました。

4.太刀川英輔さん:『進化思考』と「共生進化」が響き合う瞬間

4人目は太刀川英輔さんです。稲本さんは、太刀川さんが隈研吾さんの弟子であることを当初は知らなかったそうですが、著書『進化思考』を読んで強い共鳴を感じたといいます。

そこからオンラインで対話を重ねるうちに交流が深まり、
「進化思考」と「共生進化」は、重なり合う部分が多いという視点で議論が展開されました。

太刀川さんは日本インダストリアルデザイン協会の会長職にも就き、活動が国内外へ広がっていることもあり、対談はかなり深い内容になったと振り返られていました。

5.くま研吾さん:自然に“勝たない建築”という思想

5人目は隈研吾さんです。紹介された象徴的なエピソードが、瀬戸内の島での展望台づくりでした。
普通なら山頂に建物を建てるところを、隈さんは地中に埋める形で設計したといいます。

そこには「自然に勝たない建築」という思想があり、従来の建築観を転換する出来事でもあったそうです。
対談の中では、建築への哲学や、揺れながらも新しい方向を模索する姿勢が率直に語られた、と紹介されました。

6.藤森香衣さん:人生が折れたあとに“発信”が始まる

最後のゲストは藤森香衣さんです。藤森さんは若い頃からモデルとして活躍し、幅広い活動をしてきた一方で、ある日突然、病を経験します。

深く落ち込んだ時期を経ながらも、それを乗り越え、
同じ経験をした人の生き方や、「死を意識した人がどう生きるか」を考え、発信する活動へと転じたといいます。

稲本さんは、この転換の強さを「すごい」と語り、前半シリーズの締めくくりとして紹介しました。

ここまでが無料で観られます—YouTubeアーカイブの案内

稲本さんは、前半6回の配信がすべて無料公開になったことも案内しています。
FacebookなどからYouTubeアーカイブに辿れるので、ぜひ観てほしいという呼びかけで、前半の総括は一区切りとなりました。


2025年4月から第2弾へ—ラインナップ予告

そしてここからが第2弾です。2025年4月以降、さらに幅広いテーマへ展開していく予定が語られました。

第2弾の主なゲスト(予告)

  • 山極 壽一さん(霊長類・ゴリラ研究/京都大学元総長/総合地球環境学研究所 所長)
  • 田中 優子さん(江戸学/法政大学前総長)
  • 小俣 億学さん(若い農家/無農薬・雑穀栽培/現地撮影・ツアー企画)
  • 神田 香織さん(戦争の記憶を受け継ぐ活動に関わる)
  • 枝廣 淳子さん(『不都合な真実』翻訳/環境と農業の変革)
  • レイ・イナモトさん(海外経験×アート&サイエンス/世界へ向けた発信)

直近の注目:山極壽一さん回(3/30予定)と『家族進化論』

稲本さんは特に山極壽一さんとの対談に向けて、事前に著書を読み込んだと語っていました。
中でも『家族進化論』は内容が濃く、稲本さんの掲げる「共生進化」とも重なり合う部分が多いとして、強い期待が示されました。

「進化」という視点から、私たちがこれからどう生きるべきか。
その問いを、視聴者と一緒に考えていきたい—そんな姿勢が印象的でした。

リアルイベント告知:4/27 国際文化会館で対面開催へ

さらに、リアルイベントの告知もありました。
稲本さんは活動や著書に関連してアカデミア賞を受賞し、その記念講演を行ったとのこと。講演内容を収録した冊子を、参加者へ無料配布する予定だそうです。

  • 日時:2025年4月27日(日)14:00〜
  • 会場:国際文化会館(麻布十番近く/鳥居坂上)

久しぶりに対面で集まる催しとして、今後あらためて正式告知(資料含む)を行うとの案内でした。


まとめ:総括回は「第2弾への助走」でした

今回の配信は、単なる振り返りではなく、
「前半で得た視点を、次のフェーズでどう広げるか」を示す回でした。

生命誌、環境、食と健康、デザインと建築、病を越えた生き方。
多様なテーマを通じて一貫していたのは、人間が“人間だけ”で生きているわけではないという視点です。

第2弾では、その問いがさらに社会や歴史、農業、戦争の記憶、そして海外発信へと広がっていきます。今後の展開が楽しみです。