| 開催日 | 2026年4月12日 |
| コメンテーター | 稲本 正 |
「お笑い番組を作り続ける人生のはずだった」
そう語るのは、放送作家・谷崎テトラさん。
フジテレビの子ども番組『ウゴウゴルーガ』でキャリアをスタートし、TBSやNHKなどで企画の中心を担い、お笑い番組の制作にも関わってきました。ナインティナインのコーナーを担当するなど、順調なキャリアを歩んでいた一方で、本人は「自分にはお笑いのセンスが足りない」と感じていたそうです。
そんな中、彼の興味は徐々に「地球環境」へと向かっていきます。
世界を見て気づいた“違和感”
1990年代、環境問題が注目され始めた時代。
谷崎さんはインドやアフリカを訪れ、貧困や砂漠化の現実を目の当たりにしました。
しかし、決定的だったのは南米アマゾンでの体験でした。
ペルーのアマゾン上流で、先住民ケロ族の儀式を取材しようとした際、「外部の人間は入れない」と拒まれます。理由は明確で、外から持ち込まれるウイルスへの強い警戒でした。
そこで彼は、ケロ族のイニシエーション(通過儀礼)を受け、正式に“仲間”として迎え入れられることになります。
「地球が泣いている」と言われた瞬間
儀式の中で、彼はこう問いかけられます。
「パチママの声が聞こえるか?」
パチママとは、母なる大地。
森や川、動物、昆虫、微生物―すべてがつながった生命そのものを指します。
そして彼らは言いました。
「今、パチママは泣いている」と。
理由は、急速に進む森林破壊でした。
その言葉を受けたとき、谷崎さんの中で何かが大きく変わります。
帰国後、飛行機の中で気づいたのは
「もう、お笑い番組を作るモチベーションがなくなっている」
という自分自身の変化でした。
放送作家から“環境の伝え手”へ
そこから彼の人生は大きく方向転換します。
気候変動や生物多様性について学び、研究者やNGOへの取材を重ね、環境分野の番組制作へとシフト。
『素敵な宇宙船地球号』など、数多くの環境番組に関わるようになります。
しかし、ある課題にも気づきます。
「危機ばかり伝えても、人は動かない」
そこで彼は、問題提起だけでなく「どうすればいいのか」という具体的な解決策や実践例を伝えることに力を入れるようになりました。
アースデイという“行動のきっかけ”
2001年には、C.W.ニコルさんとともに「アースデイ東京」を立ち上げます。
アースデイは、1970年にアメリカで始まった環境運動で、現在では日本全国150か所以上で開催されています。ですが、その本質は「イベントに参加すること」ではありません。
大切なのは地球について考え、何か一つ行動することです。
たとえば、
- 森の中に入って自然を感じる
- 海を見に行く
- 植物を植える
- 食べ物に感謝する
そんな小さな行動でも構いません。
環境問題は“自分ごと”になるのか
近年、アースデイは環境問題だけでなく、平和や人権、社会のあり方へとテーマを広げています。2009年には国連が「インターナショナル・マザーアース・デー(母なる地球の日)」として正式に認定しました。
地球は単なる資源ではなく、私たちを包む“存在”であるという考え方です。
また、今本当に深刻なのは、生物多様性の崩壊や土壌の劣化といった問題です。単に生き物を守るのではなく、「その生き物が生きられる文化や環境をどうつくるか」という視点が求められています。
あなたにとっての「地球の日」を
最後に、谷崎さんはこう語ります。
「アースデイは、特別な人のためのものではありません」
4月22日前後、ほんの少しだけでもいい。
地球のことを考え、自分なりの行動をしてみる。
それだけで十分です。
大きなことをする必要はありません。
ですがその小さな一歩が、未来を変えるきっかけになるかもしれません。
