| 開催日 | 2026年4月05日 |
| コメンテーター | 稲本 正 |
「地球は今、危機的な状況にある。」
この言葉は、決して新しいものではありません。しかし、その言葉を人生の終わりと向き合う中で語る人物がいるとしたら、私たちはどう受け止めるべきでしょうか。
今回ご紹介するのは、放送作家・社会活動家として長年活動してきた谷崎テトラさん。
そして彼が語るのは、「環境問題」や「SDGs」といった枠を超えた、人類そのものの在り方への問いでした。
放送作家から“文明の問い”へ
谷崎さんは、約35年にわたりテレビやラジオの放送作家として活動してきました。
番組の企画や台本制作を手がける裏方として活躍し、その中でも特に長く取り組んできたのが「環境番組」です。
取材を重ねる中で、彼はある確信に至ります。
「地球は思っている以上に危ない」
その危機意識は、やがて単なる情報発信を超え、環境運動や社会活動への参加へとつながっていきました。
リオサミットを契機に、SDGsの議論にも深く関わり、文明の未来について考え続けてきたのです。
「ワールドシフト」という衝撃
谷崎さんの思考を大きく変えたのが、「ワールドシフト」という概念でした。
これは単なる環境対策ではありません。
環境・社会・経済の問題が複雑に絡み合う現代において、
- 部分的な改善では意味がない
- 文明そのものを変えなければならない
という考え方です。
エネルギー、食料、民主主義、技術──
あらゆる領域を横断して、価値観そのものをアップデートする必要があるという視点です。
谷崎さんはこう語ります。
「これから200年かけて、人類は本当の文明を始める」
この言葉は、単なる理想論ではなく、長年現場を見てきた人間の実感から生まれたものです。
余命宣告─そして“共存”という選択
そんな谷崎さんに訪れた大きな転機。
それは末期がん(ステージ4)・余命3ヶ月の宣告でした。
通常であれば「どう治すか」「どう延命するか」がテーマになります。
しかし彼の思考は、まったく別の方向へ向かいます。
「このがんは、自分が作り出したものではないか」
そう考えた彼は、「排除」ではなく“共存”という選択を模索し始めました。
人類と地球、がんと身体は同じ構造?
谷崎さんは以下の視点から、がんと向き合います。
- 地球にとっての人類
- 身体にとってのがん
これらは似た構造を持っているのではないか、と語ります。
人類が過剰に増殖すれば地球環境は崩壊する。
同様に、がんが制御不能に増殖すれば身体は崩壊する。
しかし
「バランスが取れていれば、共存できるのではないか」
この考えかたは、現代の“戦う医療”とは真逆の視点です。
痛みをコントロールしながら、がんと共に生きる。
これは人類と地球の関係性の縮図とも言える考え方です。
実は人類は“主役”ではない
さらに興味深いのは、生命全体から見た人類の位置づけです。
- 地球上のウイルス総量は人類の数倍
- 生物全体の中で人類はごくわずか
つまり、私たちが「主役」だと思っているこの世界は、実はそうではない可能性があるのです。
この視点に立つと「人間中心の文明」がどれほど偏ったものかが見えてきます。
余命を前にして見えた“本当にやるべきこと”
余命宣告を受けた谷崎さんは、こう語ります。
- 会いたい人に会う
- 謝るべき人に謝る
- 感謝を伝える
- 自分の思想を残す
そして何より、
「次の世代にバトンを渡す」
ことの重要性を強く意識するようになったといいます。
人生は一瞬。それでも“残せるもの”がある
宇宙の歴史から見れば、人間の一生はほんの一瞬です。
しかし、その一瞬の中で残せるものがあります。
それは、財産でも地位でもなく──
**「言葉」と「思想」**です。
谷崎さんの言葉は、
単なる個人の体験を超えて、私たち一人ひとりに問いかけてきます。
まとめ:あなたは「何を残しますか?」
宇宙や地球の長大な歴史から見れば、人間の一生はほんの一瞬に過ぎません。
その一瞬の中で、何を残したのかが意味を持ちます。
残るものは遺伝子だけではなく、言葉や生きた証でもあり、それらは次の世代へとつながっていきます。
だからこそ、限られた時間の中で自分が伝えるべきことを伝えていくこと。
その積み重ねが、静かに受け継がれていくものとして語られました。
