畑から見えた“本当の農業” ― 旧甲州街道・犬目で出会った、小俣さんの自然と共生する畑 ―

開催日2025年5月25日
ゲスト小俣 億学さん
コメンテーター稲本 正

5月25日、共生進化ネットの取材で山梨県犬目いぬめ地区を訪れました。
甲州街道こうしゅうかいどう沿いに広がるこの地域は、かつて宿場町しゅくばまちとして栄えた歴史ある場所。
今回は、自然と共に農業を続ける小俣億学おまた としのりさんの畑を案内していただきました。


江戸と甲州を結ぶ、歴史の道の上で

現在地は犬目地区。
江戸方面と甲州方面を結ぶ旧甲州街道の要所で、天気が良ければ富士山も望めるロケーションです。

周囲は南向きの斜面で日当たりが良く、標高は約500メートル。
東京より少し涼しいものの、意外と温暖で、みかんなどの柑橘類も育つほどの気候です。

桜の開花は東京より少し遅く、取材の少し前にようやく桜祭りが行われたとのことでした。

なだらかな斜面と、豊かな土

畑へ向かう道は、急すぎないなだらかな坂。
作業しやすい地形で、土の状態もとても良好です。

この土地では、農薬をほとんど使わなくても作物がよく育つそうで、
まさに「場所の力」を感じる環境でした。

周辺にはクヌギの木もあり、かつては養蚕などに使われていた名残も。
畑のあちこちにはイノシシが掘った跡があり、自然の豊かさを実感します。

2.7ヘクタールに広がる、小俣さんの畑

小俣さんの畑は、合計で約2.7ヘクタール。
今年は、

  • 一番下の段に里芋などの芋類
  • 中段にナバナ
  • その周辺に雑穀

と、さまざまな作物を育てています。

川向こうには、広大なじゃがいも畑も広がっています。

じゃがいも畑で、土の恵みを体感

じゃがいも畑の広さは、約2ヘクタール近く。
育てている品種は、

  • メークイン
  • 北あかり
  • 男爵
  • 地元の在来種「根型(ねがた)」

など、実に多彩です。

取材時はちょうど芽が出始めた頃。
この芽が成長し、土の中でたくさんの芋を実らせていきます。

土が柔らかいため、収穫は手で掘ることができるのも特徴です。

6月29日は、じゃがいも掘り体験!

6月29日には、じゃがいも掘り体験イベントを開催予定。
参加人数は約30人までで、掘りたてのじゃがいもを持ち帰ることができます。

大きい芋も小さい芋もあり、どれも味は格別。
稲本さんも「本当に美味しかった」と太鼓判を押していました。

収穫後は、みんなで力を合わせて出荷作業。
まさに“体験する農業”です。

梅・柚子・お茶…昔ながらの多品目農業

畑の一角には梅の木もあります。
今年は遅い雪やミツバチの減少の影響で、実の付きが少なめとのこと。

この地域では昔から、

  • 柚子(ゆず)
  • お茶

などを自家用に育てる農家が多く、
「野菜だけでなく、果物やお茶も作る」のが当たり前だったそうです。

特に柚子は、近くの「譲原(ゆずりはら)」地区が産地として有名。
温暖な気候を活かした農業文化が、今も息づいています。

甲州街道と、お茶の歴史

かつては宇治から運ばれたお茶が、夏の間保存され、
甲州街道を通って新宿方面へ運ばれていた歴史もあります。

一方で、地元の人たちは自分たちでお茶を育て、
自家用として飲んでいました。

現在も、農薬を使わずにお茶を育てられる環境が残っているそうです。

「農業って何?」を、もっと身近に

稲本さんから、次回イベントの案内がありました。

6月1日(日)
「農業とは何か」をテーマに、
ゆっくり話をする時間を設ける予定とのこと。

農業に馴染みのない人にも、
“畑のリアル”を伝えていきたいという思いが込められています。

おわりに

畑を歩きながら感じたのは、
農業は“作る”だけじゃなく、“守る”営みでもあるということ。

土地の力を活かし、自然と共に生きる。
小俣さんの畑には、そんなメッセージが詰まっていました。

土に触れ、作物の成長を感じる。
そんな体験を、ぜひ一度味わってみてください。